酒とアート、飲むと観るでノミルです

君の名は。

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今更かい。と言った感じですが、観に行って来ましたよ。『君の名は。』
「君のなわ。」でもなく「君の那覇。」でもなく、『君の名は。』です。(言ってみただけです。すいません)

正直に申しますと、新海誠監督の映画は、青春的な描写が恥ずかしくて直視できず、DVDで観ても、その甘酸っぱさっぷりに思わず「一時停止ボタン」を押して、深呼吸をして、胸に手をあてて「いま、画面の中で起きていることは、どう考えてもお前のことではない」とライトノベルのタイトルのような言葉を言い聞かせ、悟りの気持ちを持って再生ボタンを再び押さないと「ひゃあ」となって、観ることができないのです。

何言ってんだ。お前。ウブな中学生でもあるまいし、ハルキムラカミとか普通に読んでるじゃねーか、あっちの方がよっぽど恥ずかしいわい、と思う人もいるかもしれない。けど、たぶん、身体のツボと同じように、恥ずかしくなるツボみたいなものがあって、新海誠監督の青春的な描写は、僕にとって恥ずかくなるツボを押してくる作品なのだと思います。

なので、正直、『君の名は。』を観に行くのも憂鬱だったのです。
だって、直視できないような描写が出てきたら、DVDの場合は一時停止にできるけど、映画館ではそういう事はできない訳で、しかもビッグスクリーンで「もどかしくも甘酸っぱい」描写を『時計じかけのオレンジ』の拷問のごとく、まざまざと見せつけられる訳でしょう?そんなおそろしいことはない。32の男が、そういう描写になった瞬間に両手で顔隠して悶てたら、どう考えても怪しい。だから僕は『君の名は。』を観にいかない。西出、『君の名は。』を観に行くのやめるってよ。

しかし、しかしだ。これほどまでに評価が高い映画だ。
やはり観たほうが良いのではないか、という思いが、日に日に沸々と湧いてくる。
あの糸井重里さんだって、観て面白かったとほぼ日で書いていた。
何よりも『シン・ゴジラ』と『君の名は。』は、この夏、観るべきエンターテイメント映画ではないか。

…やはり、観に行くか。覚悟を決めよう。
命短し恋せよ乙女。いまこそ、いまだからこそ、新海誠と真正面からぶつかるときである。
どんと来い、甘酸っぱさ。どんと来い、青春。

ということで、観に行ってきましたよ。

とにかく映画館に入って、思ったことはジブリでもないアニメ映画っちゅうのに、まぁ、カップルが多いことよ。そして3人以上の友達連れな。リアルが充実してる奴らな。VRでもARでも、仮想現実でも、拡張現実でもない奴らのことな。レイトショーで、ですよ?普通、レイトショー言うたら、映画好きのおじさんやお兄さんたち達よって男性率80%以上になって、ポップコーンもチュロッキーも食べずに、食べるとすれば小腹を満足させるためのホットドッグやフライドポテトであって、一人ですから、とうぜん両脇の席は空席ですよ。そんな人達が、ただ静かに映画を観て、上映が終わると静かに席を立ち、そして足あとも立てずに去っていく。そういうのが普段のレイトショーな訳なのですわな。
しかし、その日その時間は違ったのです。客の男性率は50%を下回り、キャラメル味のポップコーンの、しかもLサイズを二人で分け分けして、さらに「チュロッキー食べる?」と隣の女の子が差し出して「いま、ポップコーン食べてるし(モグモグ)」と断ったりする訳ですよ。そこから2つ離れた席には、普段のレイトショーにいるような、映画好きのおじさんが一人で座っているというのに。僕は、もうその時点で泣きそうになっていました。僕はいいですよ。となりの3人連れの大学生が、予告編が流れている最中に映画に関係ない、本当にどうでもいい話しをべらべらと喋りやがって、と思っているだけですから。しかし、映画好きなおじさんはなぁ、ただただ純粋に映画が好きで、大きなスクリーンで一人で観ることが、心踊る行為であり、そして癒やされているんだ。それをなぁ、てめぇらはよ、たかだかデートでよぉ、チュロッキーなんか食いやがって、おじさんの癒やしの空間乱しやがって、レイトショーじゃなくて、昼間に来て通常料金(1800円)で観やがりやがれ!そして、おじさんに謝るんだ。おじさん、急に謝られてびっくりするだろうから。

閑話休題。

ということで、観に行った『君の名は。』ですが、優れたエンターテイメントでした。
個人的には東京のシーンにおける駅のアナウンスやチャイムの音を効果的に使われていたように思えます。
「映画の半分は音で出来ている」と言ったのは押井守監督ですが、今回の映画でもっともリアリティを感じたのは東京のシーンであり、そしてそれは絵ではなく、音によって感じました。
おとぎ話でありながら、東京という現実の街を舞台にした作品なんて、いくらでもありますが、その中で、舞台としての東京に現実感を与えることができたのかというと、それほど多くないはずです。そのようななかで、『君の名は。』はめずらしく、東京という街を、ビジュアルはおとぎ話でありながら、音によって現実を表現することができた珍しい作品なのではないかと思ったのでした。
あと、ヒットした理由を、個人的に考えるならば、ふだんアニメ(特に深夜アニメ)を観ない人(ジブリか細田守作品くらいしかみないような人)にとっては、いまのアニメってビジュアルとか演出がこんなにスゴイんだって、びっくりしたから、というのも理由のひとつではないかと思います。アニメファンはもちろんですが、文化系の人たちは、一昔前と比べてアニメの表現や演出がものすごくハイクオリティになっていることを知っているけど、アニメ観ない人にとっては、ジブリが最先端であり、アニメの全てなんですよ。そんな人達が『君の名は。』を観たら「すごい!」となるのは当然なのかな、と思ったりもしました。
ストーリーに関しては、不明な部分がちょくちょくあったのですが、ネタバレになるので、ここで書くのは控えようと思います。

とにかく、こんなストレートなアニメ映画であるのにも、関わらず客層が多様というの環境を体験するのも面白いと思うので、そういう意味でも観てみたら面白いのではないでしょうか?

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2016-10-12 | Posted in hakariuri

ライター紹介

西出 元

Nomiru ディレクター、撮影、イラスト、会議中に腹が減ったと晩御飯へと促すことを主に担当。企画が進まない原因の一人。
ディズニーランドとUSJに行ったことがなく、それに対する憧れが高まっていき、ハードルが上がりすぎて逆に行けなくなっているが最近の悩み。
好きなお酒は辛口の冷酒。好きな肴は白子ポン酢。


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