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炭水化物×炭水化物

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夕方、仕事の合間にネットサーフィンをしていると、Twitterで「お好み焼き定食」の写真が話題になっていた。
そのツイートでは、お好み焼きのみならず焼きそばまでついてくるという、ご飯と合わせてトリプル炭水化物定食となっていた。
そのツイートに対するリプライは、平和な賛否両論といった形で「関東では見たことありません」といったようなものから「関西人だけどありえない」といったもの、または「関東の人間だけど有りだと思います」といったパターンまで、多種多様な意見がかわされていたのである。

僕の周りでも、お好み焼き定食が許せる人と、許せない人がいる。
その割合としては、やはり関西出身の人のほうが許せる割合のほうが高く、そうでない地方の人のほうが許せない人の割合が多く感じる。ま、もちろん、雰囲気ですが。

ちなみに余談ではあるが、この粉モン定食において「関西出身にとっては普通だよ?」といった雰囲気を出すと嫌がる人もいる。
特に(これまた雰囲気ですが)京都の人は「いややわぁ、大阪の人と一緒にせんといてくれはります?」といった感じで牽制してくる場合が多い(ついでにこれも雰囲気です)ので、平和主義者としては、無駄な争いの種をまかないために粉モン論争は大阪限定にしたほうが良い。大阪の人間からしたら、京都の街中にも「うどん定食」ちゅう、炭水化物×炭水化物の定食が普通にあるやないかい、とついつい言ってしまいそうになるが、そんなことは心で思っても口に出してはいけない。

それはさておき、関西に生まれ、関西で育ち、そして関西で大人になる人間は、その人生のなかで、一度はかならず「あなたにとって、お好み焼き定食は有りか無しか?」といった質問をされる。
前述したとおり、京都の(一部の)人は、「大阪の人と一緒にせんといてくれはります?」と言うだろうが、大阪に人間にとって、それは自らの食文化の根幹を問いただすものであり、多少なりとも真剣に答えなければいけない。
そもそも、お好み焼き定食が、それほど日常茶飯事なメニューとして目の前に現れるかというと、このご時世、食べるものはいくらでも選択肢がある時代だ。目にするのはそれほど多くはないはずだ。
しかしながら、小学生のとき、自宅で一回は出てきたかもしれないといううろ覚えの感じと、実際のところ、お好み焼きとごはんは合うのか、といったシミュレーションを頭のなかでしなくてはならず(なぜならば、その質問者が否定派の人間であった場合「でも、お好み焼きとご飯って絶対に合わないじゃん」と言われるに決まっているのであり、それに対して確固たる信念で反論しなければならないからだ)人によっては、答えに窮するだろう。

では、筆者はどう思っているか?
答えは明白だ。
有りに決まっている。
なぜならば、お好み焼きというのは、主食ではないからだ。
ご飯は主食である。パンも主食である。うどんも、かろうじて主食だと思う。
しかし、お好み焼きは主食ではないし、大阪人がお好み焼きを主食と宣言したこともないと思う。(たぶん)
お好み焼きはあくまでも小麦が入っている食べ物でしかなく、メニュー名として「ブタ玉」「イカ玉」というように、その主役は具材であり、小麦粉はそれを繋げるための土台である。
よって、お好み焼きを、ご飯やパンなどの主食と同類のように並べ、同時に食べる事なんてナンセンス、という議論自体がナンセンスである。
だいたい小麦粉の割合が問題だとするならば、天ぷらやフライはどうなのだ、という話しになる。海老天なんて店によっては6割が衣だってあるうるのだ。

ただ、もちろん、好みの問題として、いう話しならば別だが、逆に個人の好みの問題で、食文化に難癖をつけてくるのは、やはり如何なものかと思う。

食文化の違いは、それまで何を食べて育ってきたか、ということなので、いままで見たことが無い料理や、その組み合わせに戸惑うこともあるだろうし、どのような都道府県だって、他府県から見たら、そんな料理(組み合わせ)有りかよ、と思うこともあるだろうし、思われることがあるだろう。
それでいいじゃないかと、個人的には思う。

しかし、話はここで終わらない。
なぜか。
それは、僕が、お好み焼き定食よりも、焼きそば定食のほうが好きだからである。
お好み焼き定食ももちろん、良い。
しかし、お好み焼き定食か、焼きそば定食の二択であった場合は、どうしても焼きそば定食を頼んでしまう。
しかし、そうなると新たな問題というか、個人的に矛盾点が出てきてしまう。
さきほど、自分でお好み焼きは主食ではないから問題にならないと書いた。
では、焼きそばはどうなのか。
お好み焼きと違い、焼きそばは中華麺であり、それは麺であり、そしてそれは立派な主食である。
人類は麺類といったのは、インスタントラーメンの生みの親である安藤百福である。
つまり、それは焼きそば定食を食べた場合、主食×主食といった構図が出来あがってしまう。
いまごろアンチお好み焼き派閥の方々はほくそ笑んでいることだろう。
「自らの策に溺れるとは、まことに愚かなりニシデハジメ」

しかーし、そんな考え、麺には通じぬのだ。
なぜか。
それは、麺は特別だからである。
なぜか。
それは、近代における日本の定食文化が築きあげた保護特区。そうサンクチュアリだからだ。
まったくもって意味が分からない、といった顔をしているようだが、ここでひとつ、君にも分かるような例題を出してあげよう。
君だって、聞いたことがあるはずだ。

そう「ラーメンライス」という存在を。

古来(近代)から、日本人は不思議と麺と米の組み合わせを求めていた。
ラーメンとライス、ラーメンとチャーハン、うどんとかやくご飯のセット、ざるそばとミニ天丼セット、冷やし小うどんと親子丼のセット。

我々はどこから来て、そしてどこへ向かうのか。
それは人が学問を探求する根幹となる問いであるという。
しかしその前に人は、麺と米の組み合わせを求め、それを実現させていた。
そう、麺と米の組み合わせは、日本人にとって、それは根付いた食文化そのものだったのだ。
焼きそば定食は、ラーメンライスや、ざるそばとミニ天丼セットに比べれば、たしかにローカルかもしれない。
しかし、素うどんにかやくご飯、というストイックなセットに比べれば、豚バラ肉やキャベツなどの野菜が具材として含まれた焼きそばならば、その食べ方にも、肉を食べて、ご飯をたべて、野菜を食べて、そばを食べる、などのレパートリーを考えることもできる。三角食べを信条としている人にとっても、焼きそば定食は、その食べ方に余地はあるのだ。
しかも幸運ならば、焼きそばに目玉焼きが乗っかっている場合もある。
黄身の最後は、焼きそばのために取っておくととして、幾らばかりかはソースの味がついた目玉焼きとして、ご飯のおかずとして扱うこともできる。
ワンダフォーではないか。

しかし、栄養学的見地からみたら、炭水化物×炭水化物とかありえないよねー。という人もいるかもしれない。
だけどね。
毎日毎食、焼きそば定食やらお好み焼き定食を食べている訳ではない。
ラーメンライスだって同様だ。
毎日毎食食べていたら、それは栄養学的に問題になるだろうし、それは大抵の人なら自覚しているだろう。
お好み焼き定食も、焼きそば定食も、日々の生活のなかで稀にある、腹いっぱいなんか食いたいという欲求を手軽にかつリーズナブルに満たしてくれる組み合わせなのだ。
ざるそばとミニ天丼セットだって、心のなかで「天丼かぁ、ちょっと食べ過ぎかなぁ。あぁ、でも天丼たべたい。それにミニだし、ま、いっか!え〜い、頼んじゃえ!」という欲求を満たしてくれるものだ。
そんな欲求を満たしてくれるものを、毎日食べていたら、欲求を満たす感覚が麻痺してしまう。
だからたまに食べるから、いいんだ。
お好み焼き定食も、焼きそば定食も。
なので、栄養学的見地というのも、やはり、的を外している。

さっきも言ったように、好き嫌いの話であるなら仕方がない。
でも、もし、食わず嫌いであるのならば、お好み焼き定食や焼きそば定食を試してみるのもいいかもしれない。
できれば、試すのであれば、ちゃんんとお好み焼きや焼きそばを作ってくれる店のほうがいい。
餅は餅屋、お好み焼きや焼きそばは鉄板焼屋だ。

それで新たな知見が広がったのであれば、それは、とても良いことではないかと思う。

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2017-07-13 | Posted in hakariuri

ライター紹介

西出 元

Nomiru ディレクター、撮影、イラスト、会議中に腹が減ったと晩御飯へと促すことを主に担当。企画が進まない原因の一人。
ディズニーランドとUSJに行ったことがなく、それに対する憧れが高まっていき、ハードルが上がりすぎて逆に行けなくなっているが最近の悩み。
好きなお酒は辛口の冷酒。好きな肴は白子ポン酢。


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