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存在の耐えがたき寒さ

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 ノミルスタッフの誰も発言していないようですが、ノミルというのは実は京都にあります。なので、お店の紹介をするにしても主に京都、広がって関西圏内なのです。
 京都と聞くと、歴史と文化の観光都市、東京や大阪に並ぶ学生の街、舞妓はん、京のお料理やお酒、といった古き良き日本のイメージを特に関東の人たちは思い浮かべるかもしれない。高所得の関東人なんかは京都に別荘を持ってたりもするし、お正月を京都で過ごそうとする人たちも多く、京都の旅館やホテルにとっては祇園祭や五山送り火、紅葉のシーズンと並んでかきいれ時だったりする。
 しかし、それはあくまでも観光として訪れた一時的な京都の姿に過ぎず、僕らみたいな学生のころからなんとなく京都に住み始め貧乏暮しをしている者にとっては、最初の1年か2年で当たり前の光景となってしまい、どちらかという悪い側面ばかりが現実として押し寄せてくるのである。(もちろん、それは京都に限った話しではないのでしょうけど)

 悪い側面と聞くと、なんだか怖いイメージがあるかもしれない。いや、怖い側面もあるかもしれないが、とりあえず言えることがある。

 京都は夏はとことん暑く、冬はとことん寒いのだ

 京都は盆地である。四方を山に囲まれ、おわん型になっている。故に暑さも寒さも溜まりやすい。雪だって降る。冒頭の写真は今年のお正月撮影した東寺の風景だ。これだけみると、風情があるわぁ。やっぱ京都ってええとこなんやねぇ。うん、たしかに見た目だけでいえば風情がある。こちらもおぉ、すごいな、と思って写メで思わずとってしまっている。しかし、それ以上に寒い。気温は0℃を下回っている。腰痛を引き起こすような寒さだ。夜になると地面は凍結し、自転車で移動しようとすると確実にスリップし横転する。危険極まりない。

 加えて家がボロい。隙間風がひどい。床暖房がほしい

 寒い原因はそこにあるのではないか。京都関係ないじゃないか。京都のせいにするな。と、言われたら返す言葉がない。が、うちの家は町家である。築90年の京の町家なのである。無理やりだけど京都関係あるのだ。ただリノベーションされてなくて、建った時のままなので様々なところにガタがきていて、戸はきちんとしまらんわ。床は沈むわ。ネズミが出るわ。といった感じの家だ。
 加えて貧乏でケチなので、暖房代を節約しようとする。寒けりゃ服を着こめばいいのよ、と思い、上着を着て震える手でマウスを握り、タイピングを行う。吐く息は白い。ときどき『シャイニング』にでてくるジャックの最期を思い出してしまう。

 しかし、人間というのは環境というものに徐々に対応していくもので、このような生活をしているとちょっとやそっとの寒さには反応しなくなる。気温10℃?ちょっと寒いくらいかな?といった感じだ。
 するとどうなるか。
 世間の人たちと寒い感じる気温にギャップが生じるのだ。
 家にお客さんが来た時は、さすがに暖房をつける。ぼくはそれでだいぶ暖かいと感じるけれど、皆口をそろえて「寒い」と言う。エアコンに石油ストーブ、ガスファンヒーターまでつけているのに、だ。しかも僕が寒くないのは太っているせいだから、という者までいる。それも”ちょっとは”あるかもしれないが、こっちとしては修行(?)による成果だと思ってもらいたい。そしてその修行内容を言うと、だいたいにおいて憐れんだ目か、変態を見るような目でで見られる。しかも修行のせいで、お店などの暖房が効いた場所に入ると暑く感じる。暑いと汗をかく。するとやはりデブなんだな、と思われる。そうじゃない。それもあるかもしれないけれど、修行のせいなんだ。

 そう、わたしはこの寒さのせいで、寒さに対するギャップだけでなく、世間とのギャップができてしまっている。しかもそのギャップの溝は年々に深くなっているようにも思えた。なので、今年は暖房をつけて過ごしてみることにした。足元にガスファンヒーターを置いて仕事をする。エアコンも付ける。快適だ。まず手が震えない。これは素晴らしい。吐く息も白くない。
 するとどうなるのか。わたしの修行の成果は短期間で消えてなくなったのである。文明に敗北したのだ。戦っているつもりはなかったけれども。いまではもう寒くて仕方がない。朝起きて、まずすることと言えばガスファンヒーターの電源をつけることだ。洗い物をするときもお湯じゃないと嫌だ。お酒も熱燗がいい。するめを炙りながら熱燗でちょこちょこやるのがいい。暖かい部屋でキンキンに冷えたビールというのもたまらんですな。

 そんなこんなで温もりの生活をはじめたわけですが、ただひとつ気がかりなのが、ぬくもり生活をはじめてからまだガスと電気の検針がきていない点だ。いったいどれほどのガス代と電気代になっているのか。それを考えるだけで背筋が寒くなりまする。ということで、お後がよろしいようで。

では、また。

2015-12-15 | Posted in hakariuri

ライター紹介

西出 元

Nomiru ディレクター、撮影、イラスト、会議中に腹が減ったと晩御飯へと促すことを主に担当。企画が進まない原因の一人。
ディズニーランドとUSJに行ったことがなく、それに対する憧れが高まっていき、ハードルが上がりすぎて逆に行けなくなっているが最近の悩み。
好きなお酒は辛口の冷酒。好きな肴は白子ポン酢。


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