酒とアート、飲むと観るでノミルです

コーヒーの断り方

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むかし、ネスカフェのテレビコマーシャルで「違いの分かる男たち」というシリーズを放映していた。ダバダ~ダバダ~という女性の歌声とともに、著名人たちが仰々しくコーヒーを飲み、その香りを楽しんでいる。「違いの分かる男たち。ネスカフェゴールドブレンド」というナレーションが入る。そういう内容のCMだ。もしかしたら、いまでもやっているのかもしれないけど、テレビを観ることがめったとないので分からない。
さて、というほどのことでもないけど、僕はコーヒーが飲めない。というより飲めなくなった、というほうが正しい。大学生のころまでは普通にコーヒーを、しかもブラックでも飲めたのだ。缶コーヒーだって毎日1本は飲んでいた。それが唐突に飲めなくなった。
飲めなくなったとはどういうことなのか。まず、冷や汗が出る。手に汗握り、額に汗流し、背筋が寒くなる。そして気分が悪くなり、まとも立ってられなくなり、座り込んでしまう羽目になる。コーヒー会社の人が読んだら、腹を立てるかもしれないけれど、なってしまうものは仕方がない。僕も別に上島珈琲やネスカフェを恨んでいる訳ではない。
唐突に飲めなくなったといっても、具体的にあのタイミングで飲めなくなったというはっきりとした記憶が在るわけではない。いつ頃からか体調が悪いときが多く、原因を考えていると気分が優れない前には必ずコーヒーを飲んでいることに思い当たって、それをやめると体調不良がぱったりとなくなったという訳です。不思議です。
インターネットなんかでサーチしてみると、コーヒーを飲んで気分が悪くなる人は世の中に少なからずいるようです。質問サイトでコーヒーが飲めないという相談者に対して、カフェインが合わないとか、コーヒーの農薬が悪いとか、タンポポコーヒーがおすすめとか、舌がお子様なんだとか、色々な発言があるけれどいまいちピンとくる意見がない。解決法もそれらしきものがないので、モヤモヤしたままブラウザを閉じることとなる。いまでも1年に一度ほど、思い出したようにサーチしてみるけど、このコーヒー飲めない問題はここ数年進展していないようだ。(情報求む)
ふだん、ひとりで生活しているだけであれば、コーヒーが飲めなくても日常生活に支障をきたさない。コーヒーが飲めないなんて考えられないよ、という人もいるけど、案外いけるものです。コーヒーを飲むというのはあくまでも習慣であって、これはタバコを吸うのに似ている。ただ、タバコは臭いやら肺がんになりやすいやら、いつの間にかマイナスイメージが付きすぎてしまった。思えば、タバコも本来、匂いを楽しむちゃんとした嗜好品だったはずなのに、いつの間にかニコチンのほうがメインになってしまい、吸っているのは自分がコントロールできないからだと言われてしまって、なんだか可哀想な気がしないでもない。そもそも、コーヒーとタバコというのはワンセットだった。ジム・ジャームッシュの『コーヒーアンドシガレッツ』という映画があるように、コーヒーにはタバコが付き物だったのだ。でも、それはもはや、いまでは昔の話にすぎないのかもしれない。
なんの話だったっけな。そう、コーヒーを飲まなくても日常生活に支障をきたさないという話だった。これは誤解しないんでほしいですけど、コーヒーなんていらないですよ、と言っている訳ではない。あくまでもコーヒーが飲めた人間が、急に飲めなくなっても日常生活に支障をきたさないという話だ。なんとかやっていける。コーヒーがあると人生にささやかなプラスがあるかもしれないが、飲めないからといってマイナスになる訳ではない。だからそれほど絶望を感じなくてもいい。ちなみに、いま、僕の目の前には大きなマグカップに焙じ茶が入っている。これもコーヒーの代わりかどうかは分からない。朝起きて温かい飲み物が欲しかっただけだ。つまり、コーヒー以外の選択肢だってある。(湯のみだと、ちょっと少ないんですよね)
ただ、ひとつ困るのは、人の家や会社などに行くと、飲み物としてコーヒーが出てくることです。あれは、本当に困る。嫌いというだけなら我慢して飲めるけど。嫌いという訳ではないし、気分が悪くなるので無理に飲む訳にはいかない。「コーヒーがいいですか?紅茶がいいですか?」と聞かれるといいけど、有無も言わさず、コーヒーが出てくるとけっこう途方に暮れる。となりに知り合いが座っていたら、相手が席に立った時に事情を話して代わりに飲んでもらうときもある。飲む振りをするというのも、なんだかなぁという気がするし、けっきょく一口も口を付けずに席を立つことになる。そして言われる。「コーヒー、お嫌いでしたか?」僕は言う。「いえ、身体にあわなくて飲めないんです」「あぁ、そうでしたか。それは気づかずに、申し訳ないです」「いえいえ、こちらこそすいません」という一連のやりとり、これが本当に辛い。「入れる前に言えよ」とおっしゃる方もいるかもしれないが、家に入った瞬間に「わたくしはコーヒーが飲めないので、お茶でお願いします」という訳にもいかない。そもそも飲み物がいるかどうかなんて聞かれていないし、聞かれることがないのだ。聞かれたら答えている。だから、コーヒーはすでに存在しているうえで、どうするべきか、と考えなければいけないのだが、いまだに良い対応の仕方が思いつかない。良いアイディアがあれば教えてください。

2016-06-02 | Posted in hakariuri

ライター紹介

西出 元

Nomiru ディレクター、撮影、イラスト、会議中に腹が減ったと晩御飯へと促すことを主に担当。企画が進まない原因の一人。
ディズニーランドとUSJに行ったことがなく、それに対する憧れが高まっていき、ハードルが上がりすぎて逆に行けなくなっているが最近の悩み。
好きなお酒は辛口の冷酒。好きな肴は白子ポン酢。


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