酒とアート、飲むと観るでノミルです

眠れぬ夜の読書たち

夏ですね。寝苦しいったらありゃしない。
暑いと思って、起きたら汗だく、喉だって乾いている。お茶を飲みに台所へ行き、お茶を飲んで顔を洗い、寝床にもどりながら目覚まし時計を確認すると午前3時過ぎ。寝たのが午前0時で、扇風機のタイマーが3時間だから、そうか、やはり扇風機のタイマーが切れると目が覚めるのか。ということを、ね。夏は永遠に繰り返すのですよ。
あと扇風機の風は当たりつづけていると寝起きが悪いですね。最近のダイソンとかバルミューダの新しい扇風機なんかだと違うのですかね。という訳で買ってみてレビューしてみました…というのがブログにおける普通の流れかもしれませんが、さすがに高すぎて買えません。公式サイトの洒落た写真を見ながら、ええんやろうなぁ、と想像するばかりです。とりあえず、この扇風機を買う前に自分の部屋にエアコンが欲しい。


羽が二枚あることで自然な風を生み出すというバルミューダの扇風機。ほしい。

さて、そんな寝苦しい夜なので、寝床についてからもしばらく起きてる訳でして、そういう時間に何をするかっていうとやっぱり読書ではないですかね。
とくに最近は古典SFと呼ばれている本を何冊か読んでいるのですが、これがびっくりするほど面白い。これが1960年代に書かれていたのか、と思うと驚きです。
その中で最近読んでいる2冊をご紹介。

まずは『アルジャーノンに花束を』。

アルジャーノンに花束を〔新版〕

“32歳で幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリイは、ある日、ネズミのアルジャーノンと同じ画期的な脳外科手術を受ければ頭がよくなると告げられる。手術を受けたチャーリイは、超天才に変貌していくが……人生のさまざまな問題と喜怒哀楽を繊細に描き、全世界が涙した現代の聖書。”

知能指数があがることで、みんなに喜んでもらえると思い、手術を受ける決意をしたチャーリイ。その結果、自分が受けてきたことは不当な差別であったことに気づき、苦悩し、さらに急激に天才になったことで人間性を失ったと言われ、周りから疎外されていく男の物語。
と、書くとなんだかつらそうな話に見えますが…。

この小説でとくに面白いのがチャーリイの知能が成長していく過程の表現。テキストはチャーリイの活動報告書という形ですすみ、序盤は幼児が書いたようなひらがなだらけで誤字だらけ、文章も内容もあれがいやでした。あれは好きでした、という単調なものですが、物語が進むにつれて、徐々に漢字が多くなり、誤字も少なくなり、内容も少しずつ整然とし、チャーリイの内面も表現されていきます。なによりも、この徐々に知能が増えていくバランスがすばらしく、読者は、前の章ではひらがなを使っていたけど、この章では漢字になっているな、けどチャーリイ自身はこのことに(自分の知能が上がっていることに)気づいていないんだろうな、と思わせることに成功しているのです。これは、作者の表現も然ることながら、日本語訳が素晴らしいということ。単純に日本語に翻訳するのではなく、日本語の表現をうまく使いながら物語の本質を伝えることに成功している特殊な例だと思います。

物語についても多くを語りたいのですが、その前にまずはとにかく読んでほしい一冊。題名の『アルジャーノンに花束を』の意味が分かった時は、思わず長い溜息をついてしまいました。

 

2冊目は『星を継ぐもの』。

星を継ぐもの (創元SF文庫)

”月面調査隊が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。すぐさま地球の研究室で綿密な調査が行なわれた結果、驚くべき事実が明らかになった。死体はどの月面基地の所属でもなく、世界のいかなる人間でもない。ほとんど現代人と同じ生物であるにもかかわらず、5万年以上も前に死んでいたのだ。謎は謎を呼び、一つの疑問が解決すると、何倍もの疑問が生まれてくる。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見されたが……。”

庵野秀明のアニメシリーズ『ふしぎの海のナディア』で最終話のタイトルにもなった本作。謎が謎を呼ぶSFミステリー巨編です。と言ったものの、正直に言いましょう。まだ読み終えていません。すいません。しかし、途中までしか読んでなくても面白い!

SFで宇宙といえば、スター・ウォーズのようなものを思い浮かべるかもしれませんが、本作は派手なシーンは一切ない。発見された身元不明の死体、しかもそれは、人類が文明を気づく遥か以前の5万年以上前のもの。一体、彼は何者なのか。その解明までの道のり、つまり研究成果と研究者同士のディスカッションがひたすら描かれているのです。よくある登場人物の群像劇みたいなものも一切ありません。ひとつひとつの証拠を検証していき、そこから浮かび上がってくる事実、そこから湧きだつ想像、そしてその想像を確固たるものにするための証拠集め、そして証拠があがるたびに別の謎が生まれていく。これをロマンと呼ばずに何をロマンと言うのでしょうか?そしてなによりも作者の圧倒的な想像力とその説得力には感嘆のため息をつくばかりです。そうか、これぞSFなんだ。サイエンス・フィクションでありながら、スペース・ファンタジーでもある。いままで、フィリップ・K・ディックとか『ニューロマンサー』とかのサイバーパンクSFばかり読んできたけど、王道のSFって、ヴェルヌ以外にはじめて読んだかもしれない。もちろんヴェルヌの『海底二万里』も最高に面白いですけどね。『星を継ぐもの』のように、ほぼ派手なシーンがなくとも(壮大なシーンはたくさんあるけど)壮大な物語は築けるんだな、と。

いやぁ、これホント、小学生かせめて中学生のときに読みたかったなぁ。

 

という訳で、今回は寝苦しい夜に、夢中になって読める小説をご紹介いたしました。

まぁ、問題は読んだからといって、寝不足がなくなる訳でもなく、むしろ寝不足が増す可能性もありますが、、責任はとりませんのであしからず。

では、また。

2016-07-09 | Posted in hakariuri

ライター紹介

西出 元

Nomiru ディレクター、撮影、イラスト、会議中に腹が減ったと晩御飯へと促すことを主に担当。企画が進まない原因の一人。
ディズニーランドとUSJに行ったことがなく、それに対する憧れが高まっていき、ハードルが上がりすぎて逆に行けなくなっているが最近の悩み。
好きなお酒は辛口の冷酒。好きな肴は白子ポン酢。


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